この宝石、預かってよ

今回から寄託契約について解説します。AさんがBさんに宝石を預かってもらう目的で宝石を渡します。寄託者A受寄者Bとなります。この契約を寄託契約といいます。特約で報酬の定めがない場合、無償で預からなくてはなりません。この契約は原則、無報酬です。報酬があるかないかで保管義務に対する注意も変わってきます。無償の場合、「自己の財産に対するのと同一の注意義務」で足ります。自分の持ち物に対する注意ですから、そんな重い注意義務ではありません。しかし有償の場合は、「善良な管理者の注意義務」を負うことになります。いつでもその寄託物に対しては細心の注意が必要です。有償ですから当たり前ですね。

 

民法第657条

寄託は、当事者の一方が相手方のために保管することを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

民法第659条

無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。