大家さん、トイレの修理代下さい。

Aさんがアパートに住んでいたとします。トイレが壊れてしまい業者に頼んでトイレを修理してももらいました。かかった費用は10,000円。この10,000円は大家さんに請求することができます。大家さんは直ちに支払わなくてはなりません。これを必要費償還義務といいます。では、和式トイレをウォシュレットにした場合の費用は請求できるでしょうか。原則可能です。これは有益費償還義務といいます。有益とは、客観的に価値を高める費用のことです。さきほどの修理費は、どうしても生活するために必要な修理ですので、必要費です。過去の判例で汲み取り式のトイレを水洗トイレにした場合の費用を有益費とされたことがありますので、和式をウォシュレットにした場合も認められるのではないでしょうか。一つ注意したいのは、必要費はすぐに請求することができますが、有益費はすぐ請求することができません。

民法第608条

1、賃借人は賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

2、賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了時の時に、第百九十六第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期間を付与することができる。