協議による遺産の分割
遺産の分割協議は、原則、相続人全員が参加して行います。しかし、相続人全員が、近くに住んでいることはなく、離れた場所で暮らしているケースが多いと思われます。そんな場合は、協議書の案を電話で調整し、協議書を郵送して署名押印してもらうことも可能です。また、相続人の中に行方不明者がいる場合、家庭裁判所に※相続財産管理人の選任の申立てして、その管理人を参加させて協議することになります。
※相続財産管理人とは、相続人、又は相続人の債権者などを探し出すまでの間、相続財産を管理します。
相続人の中に未成年がいる場合は、家庭裁判所に※特別代理人の選任をしてもらう必要があります。未成年者は単独で法律行為をすることができません。通常の法律行為をする場合、法定代理人の同意が必要です。遺産分割協議で、親が子の代理人として参加すれば、自分にとって有利な遺産分割内容にしてしまう恐れもあります。すると未成年者にとって不利な内容になってしまいます。これを「利益相反」といいます。
※公平な相続手続きを実現するため、子の代理人として遺産分割協議に参加します。
相続財産を分ける方法は?
遺産分割をする場合は、現物分割、換価分割、代償分割、など3つの方法があります。
現物分割
財産を現物で分ける方法です。
換価分割
相続財産を一度すべて売却し、金銭に換価してから、その価格を分けます。
代償分割
相続人のうちの一人にすべての財産を帰属させ、他の相続人に相続分の価額を払うという分割方法です。
※なお、遺言により遺産分割が禁止されている場合があり、相続開始の時から5年間は、遺産分割ができません。
遺産分割協議書を作成する
民法で遺産の分割は、「遺産に属するもの又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定められております。この遺産分割協議は、相続人全員が参加する必要があり、1人でも欠けていると無効となります。よって、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得し、相続人を確定させる必要があるわけです。
遺産分割協議書は不動産移転登記や預貯金等の解約手続きで必要になります。また、どのように遺産を分割したのか、後日の証拠ともなります。将来の紛争を防ぐためにも遺産分割協議書は必ず必要となります。そして遺産分割協議書は、相続人全員が署名し、かつ、実印で押印します。また、印鑑証明書も添付します。
当事務所にご相談いただいた場合の手順
①面談のご予約、日時等を決めます。
②面談してお話をお聞きいたします。
③戸籍を取得して、相続人を確定させます。
④相続人全員からお話をお聞きして、遺産分割協議書の原案を作成します。
⑤遺産分割協議書の内容を確認していただき、よろしければ、相続人の皆さまから署名押印※実印をしていただきます。
<遺産分割協議書サンプル>

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